千葉大学 宇宙農業・園芸研究センターを訪問

一般社団法人 日本ラテンアメリカカリブ振興協会(JAPOLAC)の代表理事である リッテル・ディアス博士は、千葉大学大学院園芸学研究院(松戸キャンパス)にある宇宙農業・園芸研究センターを訪問し、日本が宇宙探査に向けて進めている持続可能な食料生産の研究と、ラテンアメリカ・カリブ地域の大学との学術・技術連携の可能性について理解を深めました。
この訪問では、センターのスタッフより、月や火星、さらには宇宙空間での長期ミッションに対応できる自律型・循環型の食料生産システムを開発するというセンターの目的について詳しい説明が行われました。
宇宙と地球の食料安全保障のために
このセンターでは、植物工場技術、ゲノム編集、資源リサイクル型の閉鎖環境システムなどを応用して、宇宙でも人間が安心して生活できるための食料生産方法を研究しています。また、日本の宇宙開発機構(JAXA)や、NASAと協力するアルテミス計画など、国際的な取り組みにも貢献しています。
現在、以下のような様々な作物の研究が行われています:
- トマト:ビタミンCや抗酸化物質が豊富で、気分を和らげる食品として注目
- キュウリ:根が水を探す特性(向水性)があり、無重力環境でも育てやすい
- 大豆:タンパク質源として重要で、豆腐や味噌など多くの加工品を生産可能
- 米:主食(炭水化物)で、宇宙での栽培に適した方法を研究中
- ジャガイモ・サツマイモ:カロリーが高く、閉鎖環境でも栽培しやすい
- イチゴ・レタス:栄養価が高く、宇宙生活での心のケアにも役立つ作物
これらの作物は、月や火星の環境を模した条件で栽培テストされており、育成のスピードが早く、栄養価が高く、ストレスに強い野菜・果物を作り出すことを目指しています。技術面では、受粉ドローンや自動収穫ロボット、低重力シミュレーターなども活用されています。
国際的な学術連携に向けて
ディアス博士は、ラテンアメリカやカリブ海地域の大学とこのセンターとの間で、環境制御型農業、バイオテクノロジー、持続可能な開発といった分野での学術連携に強い関心を示しました。宇宙での農業技術を、気候変動で影響を受けている地域の農業に応用することで、共同研究や知識の共有が促進される可能性があります。
「このセンターは、宇宙探査の未来だけでなく、地球の農業の未来も示しています。また、ラテンアメリカやカリブ地域の多くの国が直面している、持続可能で排出ゼロの食料システムの開発という課題に、まさに合致しています。」とディアス博士は述べました。
JAPOLACは今後、千葉大学とラテンアメリカ・カリブ地域の理工系大学や科学技術機関との間で、共同研究、学生交流、技術移転などを進めるための対話を促進してまいります。